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・芝居全体について→2、芝居についてのコラム→芝居はいつも金にならない。
このサイトのタイトルにもなっているとおり、芝居は金になりません。
世の中の全ての芝居が金にならないのかと言うとそんなことはありませんが、少なくとも私にとって、芝居はいつも金にならないものです。
どんなに節約しても、小屋代スタッフ代その他諸々で経費がかかります。
例えば、十五人で六十万円の予算を組んで公演を行うとしましょう。単純計算で一人あたり四万円のチケットを売らねばなりません(実際は役者や演出のノルマが多かったりします)。
四万円くらいなら、と思うかもしれませんが、チケット代が千五百円とか二千円だとすると、結構な枚数です。
一流の映画が千円から千五百円で見られる時代、芝居だけが五千円とか一万円、という風潮に私は個人的に反対です。特に私の芝居は小劇場芝居ですから、気軽に見ていただける料金設定が肝要です。
となると、前売りで千五百円から二千円程度がギリギリのラインです。仮に千五百円とすると、四万円のノルマを達成するには三十人近くにチケットを売らねばなりません。
その劇団に固定客が付いていて、あっという間にさばけるならともかく、自分の知り合いだけで三十人となると結構骨です。しかも、メンバー十五人全員が三十人呼んだら、全部でお客さんは四百五十人。三日間五回の公演だとすると、六十人しか入らないような小劇場では芝居ができません。その分高い小屋(小劇場)を借りなければなりません。
しかも、当然ながらノルマをこなしただけでは儲けは0円です。
そこからさらに十枚、二十枚売って、初めて儲けになります。でも、そこからたとえ奇跡が起きて百枚売れたとしても十五万円の儲けです。公演期間が二ヶ月だとして、二ヶ月で十五万の収入は果たして? という感じです。しかも百枚なんて絶対個人でさばける数じゃないですしね。
とまあこのように、芝居は金になりません。
むしろ仕事で稼いだ金を食いつぶす遊びです。
しかし、逆の考え方をしてみて下さい。
宝くじは「当たればでかい」。芝居は「当たってもしょぼい」。それにもかかわらず、芝居をやろうとする人間はたくさんいます。世の中の流れとしては減少傾向にあるのかもしれませんが、それでも、やりたいという人はたくさんいます。
それは、金がかかってもやる価値のあるものだからです。
芝居はいつも金にならない。でも、金で買えないものが芝居にはあるのです。
私はそんな、芝居の魔力に魅せられました。
何度やめようと思ったか知れませんが、結局舞台に戻ってきました。それは、芝居以外では手に入らないものが芝居にあったからです。
金と無縁のところで、金にならないからこそ手に入るものがあったからです。
プロを目指す芝居人もたくさんいますが、私は一度もプロになりたいと思ったことはありません。
ただ、一生芝居を志したい。志すことを諦めたくないと思います。
プロは、金にならないなんて言ってられません。
金にならないからこそ得られるものを、私はどこまでも深く追求したいのです。
だからある種の誇りと自信を持ってこう言います。
芝居はいつも、金にならない。
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