・芝居全体について→1、芝居を始めるにあたって→「芝居」は断じて難しくない!

ここまでお読みになっていかがだったでしょう?

あなたが芝居をやったことのない人だったら、恐らく「芝居って大変だなあ」と別世界のことのように思われたかもしれません。
なんだ、全然気軽じゃないじゃないかと思うのが当然です。確かに、模式的に説明するとどうしても難しいように思われます。しかしそれはどんな業界のことを説明しても同じです。


恋愛をしたことがありますか?

ある、という方。ありがとうございます。ない、という方。すいません、これから恋愛を例に使います。

恋愛はとても難しいものです。一筋縄ではいきません。
深く付き合おうとすれば付き合おうとするほどうまくいかなくなったりするし、誰も望んでいないのにどろどろした関係になったりと様々なリスクがあります。
「もう恋愛なんてしたくない!」という言葉がそれほどマイナーではないのも、恋愛の負の部分がどれほど一般的かを物語っています。


が、それでも人は恋をします。異性や同性を愛します。愛されたいと願います。
それは恋愛が楽しいからだ、と私は思います。楽しい、という言葉を使うと陳腐ですが、私たちは恋愛が充足感、満足感、安心感というような快感をくれるものだと知っているのです。

ただ、恋をしたこのない人が「恋愛というのはね、どろどろしていて、ぐちゃぐちゃしていて、人間の醜い部分が露呈されて……」と延々恋愛のしんどい部分を説明されたらどう思うでしょう。
恋をする前に「恋愛なんてごめんだわ」と思いかねません。確かに、恋愛は大変です。


ただ、飛び込んで、恋愛をして、大変な思いをして、それでも「してよかった」と思う人も大勢います。
芝居はそれと同じです。




芝居をしたことのない人が「芝居というのはね……」と、大変な部分を聞かされる。もしくは学芸会や強制的に見させられたつまらない芝居を芝居の全てと思い込む。
そういったことを繰り返し、現在では芝居を経験しない多くの人が「芝居なんてごめんだね」と思っています。明確に思っていなくても心のどこかで感じています。

しかし恋愛と同様、芝居ははまれば素晴らしい快感をくれます。
恋愛と同じで、始める分には全く難しくありません。難しいことを考えることもありません。


今すぐあなたが芝居を始める方法を書きましょう。
その辺の劇団のサイトを渡り歩いて、良さそうな雰囲気の劇団に「公演へ参加させて下さい」と頼むのです。もちろん通用するのはアマチュアに限りますが、大体のアマチュア劇団は人手不足なので恐らく歓迎されます。
あなたがかっこいい男性か、綺麗な女性だとしたらさらに歓迎されます。味のある三枚目はもっと歓迎されます。

いきなり公演をやることに抵抗があるなら、ワークショップに参加すればいいのです。ワークショップというのは要は声と身体を使って遊ぶことで(と私は解釈しています)、遊びながら演技の練習しちゃおうぜというお得なレッスンです。ひたすら楽しいだけの経験です。


私としては原宿辺りのナンパ師の間で「ヘイ彼女、芝居しない?」という誘いが大ヒットするのを待ち続けているのですがいつまで経ってもそんなかけ声はポピュラーにならないので仕方ありません。


さあそこのあなた、芝居しませんか。
恋愛が好きな人もそうでない人も今まで芝居にいい印象を持っていない人も人生せっかくだから一度くらい芝居に情熱燃やした経験持ってみませんか。

恋人と同じで、まず付き合ってみる、それで合わなかったら別れるし合ったらゴールイン。それでいいじゃないですか。

芝居と結婚しなくてもいいですけれど、一度お付き合いしてみることをおすすめします。
もしかしたらそこから、あなたの人生はそれこそ劇的に変化するかもしれないのですから。