・芝居全体について→1、芝居を始めるにあたって→心構えはどうすればいい?

さて、芝居をしようと思ったとき、一番大事なのは身構えないことです。
世間一般の芝居に対するイメージは(少なくとも若者は)学芸会か文化祭か、もしくは「文化体験」と称して学年全体かなんかで見に行かされたもののイメージしかないんではないでしょうか。


デートで「映画を見に行こうよ」というのはよく交わされる言葉だと思いますが「芝居を見に行こうよ」とはなかなか出にくいものです。仮に出したとしても相手は「えっ、芝居?」と驚くか嫌悪の視線を向けるか「こいつ何食わぬ顔して芝居好きだったのか、別れよう」ということになりかねません。

芝居に普段触れていない人はこのように、あまりいい印象を持っていない……と私なんかは思うのですが、偏見かもしれません。
まあ、少なくとも芝居を始めよう、というのが冒険であることに変わりはないはずです。
趣味で「ピアノをやっています」と言うと「へぇ、弾けるんだ。凄いね」となるのに「芝居をやっています」と言うと「えっ、そうなの?」と返ってきます。「『そうなの』って何だよ。意見を言えよ。驚くだけかよ」と突っ込んでやりたいのですが、一般人にとって芝居というものにどれほど印象がないか、というのが解ると思います。


で、そんな人が何かのきっかけで芝居を始めようと思ったとします。
当然身構えます。よーしやったるぞうと思うかもしれません。

しかしこれは間違いです。
芝居は、恋愛やセックスと同じです。初めてのセックスは緊張するかもしれませんが、やがてなんでもないこととしてできるようになるでしょう。芝居も初めはどうしても緊張するでしょうが、解きほぐれればセックスと同様「えっ、これは日常的な当たり前の行為だと思っていたよ」となるのです。
で、一歩間違えれば苦痛でしかないあたりも、セックスと似ています。それは逆に言えば、一歩はまれば最高に楽しめるということでもあります。


身構えるのは仕方ありませんが、リラックスを心がけましょう。
芝居はあくまで遊びです。遊ぶのに身構える必要はありません。

最初は緊張するのも仕方ないですが、飛び込んだらとにかく楽しみながら思いっきりはしゃげばいいのです。
プロになりたいならともかく、アマチュアならそれでいいでしょう。


あと蛇足ですが、芝居の楽しみ方の同じ人が集まればいい劇団になります。
あなたがある劇団に入っていて、芝居の楽しみ方が違う場合は抜けたほうが無難です。それはその劇団が悪いのでもあなたが悪いのでもなく、相性の問題です。その辺もセックスや恋愛と似ています。

せっかく芝居をするなら、とにかくリラックスして楽しむのがいいんじゃないでしょうか。